2024年2月29日

本年4月から相続登記が義務化されます!!

弁護士 金田 恒平

 以前、2021年4月に相続登記の義務化等の法改正がなされ、3年後に施行される旨ご紹介しましたが、いよいよ本年4月1日に、その施行を迎えることとなりました。
そこで、相続登記の義務化について、おさらいをしたいと思います。

相続登記の義務化とは?

相続人は、土地や建物などの不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務になります。

正当な理由がないにもかかわらず相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

相続人間で遺産分けについて話し合う遺産分割によって不動産を取得した場合も、遺産分割から3年以内に、その内容に応じた登記をする必要があります。

なぜ、相続登記が義務化されたのか?

所有者(登記記録上の所有権登記名義人)が死亡したにもかかわらず、相続登記がされないことによって、登記記録を見ても所有者が分からない、いわゆる所有者不明土地が全国で増加し、当該土地周辺の環境悪化や不動産取引に支障が生ずるなどの社会問題となっており、この問題を解決するため、これまで任意だった相続登記が義務化されました。 

相続登記は、いつから義務化されるのか?

相続登記は、令和6年4月1日から義務化されます。

また、令和6年4月1日より前に相続した不動産で相続登記がされていないものについても義務化の対象になります。 

いつまでに相続登記をすればよいのか?

相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければなりません。

この3年の期間は、特定の不動産を相続で取得したことを知った日から起算されますので、取得した不動産を具体的に知るまでは、相続登記の義務は生じません。

また、令和6年4月1日より前に相続した不動産で相続登記がされていないものについては、令和9年3月31日までに相続登記をしなければなりません。 

どのような場合に過料が科されるのか?

(1)令和6年4月1日以降に不動産を相続で取得したことを知った場合

不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をせず、そのことについて正当な理由がない場合には、過料の対象となります。

(2)令和6年4月1日以前に不動産を相続で取得したことを知った場合

令和9年3月31日までに相続登記をせず、そのことについて正当な理由がない場合には、過料の対象となります。

(3)遺産分割によって不動産を取得した場合で、遺産分割の日から3年以内に、その結果に基づく登記をせず、そのことについて正当な理由がないときにも、過料の対象となります。 

過料が科される場合の流れ

登記官が義務違反を把握した場合、義務違反者に登記をするよう、催告書を送付します。

催告書に記載された期限内に登記がされない場合、登記官は、裁判所に対してその申請義務違反を通知します(催告を受けた相続人から説明を受けて、相続登記申請を行わないことにつき、登記官が「正当な理由」があると認めた場合を除きます)。

通知を受けた裁判所で、要件に該当するか否かを判断し、過料を科する裁判が行われます。 

登記官は、どのような場合に催告をするのか?

登記官は、相続人が不動産を相続で取得したことをいつ知ったか把握することは容易ではありませんので、次のような事情をきっかけに、登記申請義務に違反したと認められる者があることを職務上知ったときに限り、催告を行うとされています。

(1)相続人がある不動産について遺言の内容に基づく所有権移転登記の申請をしたが、その遺言書には別の不動産も登記申請した相続人に相続させる旨が記載されていたとき。

(2)相続人がある不動産について遺産分割の結果に基づく相続登記の申請をしたが、その遺産分割協議書には別の不動産も登記申請した相続人が相続する旨の記載がされていたとき。 

どのような場合に、相続登記を行わない「正当な理由」があると認められるのか?

相続登記義務が課せられる期間内において、次のような事情が認められる場合には、一般的に正当な理由があると認められます。
もっとも、これらに該当しない場合においても、個別事案における具体的な事情に応じ、登記をしないことについて理由があり、その理由に正当性が認められる場合には、「正当な理由」があると認められます。

(1)相続登記義務対象の相続について、相続人が極めて多数に上り、かつ、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合

(2)相続登記義務対象の相続について、遺言の有効性や遺産の範囲等が相続人間で争われているため、相続対象不動産の帰属主体が明らかにならない場合

(3)相続登記の義務を負う者自身に、重病その他これに準ずる事情がある場合

(4)相続登記の義務を負う者が、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第1条第2項に規定する被害者その他これに準ずる者であり、その生命・心身に危害が及ぶおそれがある状態にあって避難を余儀なくされている場合

(5)相続登記の義務を負う者が、経済的に困窮しているために、登記申請に要する費用を負担する能力がない場合 

過料の金額はいくらか?

10万円以下の範囲内で裁判所が決定します。

相続登記義務の履行期間が迫っているが、遺産分割協議が成立する見通しが立たない。どうしたらよいか?

このような場合に、相続登記義務を履行するための簡便な方法として、相続人申告登記制度が新設されました(令和6年4月1日~)

ただし、この制度は、相続登記義務を果たすという効果しかないため、相続した不動産を売却したり、抵当権の設定をしたりするような場合には、速やかに遺産分割協議を成立させたうえで、追って、正式に相続登記をする必要があります。

相続人申告登記は、対象不動産を特定したうえで、①所有権登記名義人について相続が開始したこと、②自身がその相続人であることを、法務局に対して申し出る必要があります。

相続人申告登記は、申出をした相続人についてのみ相続登記義務を履行したものとみなされるため、相続人全員が義務を履行したとみなされるには、相続人全員がそれぞれ申出をする必要があります(複数の相続人が連名で申出をすることもできます)。

 

相続登記の義務化まで、あと1か月となりました。

相続登記の申請を怠った場合、過料のペナルティもあります。

相続人間の遺産分割協議の話し合いがなかなかつかず、相続登記申請の見通しが立たないという方がいらっしゃいましたら、当事務所までご相談ください。

 

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