マンションをめぐる法律問題

法律ミニ講義 2015年7月

弁護士 鈴木幸子/Yukiko SUZUKI

今回は,マンションを巡る法律問題について,お話しします。
ただ,一口にマンションを巡る法律問題といっても,購入するのか賃貸するのか,または新築か中古かなど,場面は様々ですので,今回は主にマンションを購入する際に問題となる点に焦点を絞ります。

第1 マンションを購入するにあたって

マンションのような今後長期間にわたって,自分の住む家となるもの,また高額なものの場合には,ほかの買い物以上に,後でトラブルになることがないよう,注意するべきことがあります。

1. 新築マンションの場合

建築設計図書を閲覧して,マンションの耐久性や耐震性等の性能についての情報を収集すること(登録している建設業者,分譲業者による住宅性能保証制度あり),法務局で敷地の図面や登記簿謄本を入手し権利関係を調査すること,管理規約や使用細則,管理委託業者の確認をすること,住宅ローンの内容の確認をすることが必要です。

但し,専門的な知識が必要なので,建築士,弁護士等専門家から助言・指導を受けた方が良いでしょう。

2. 中古マンションの場合

建物及び敷地の権利関係,管理規約・使用細則,通常の管理費等の負担金額等の説明を受けるのは当然のこと,さらに,マンションの建築年次,売主に管理費・修繕積立金などの負担金の滞納がないか,修繕の実施状況,修繕積立金の金額,今後の修繕計画についても確認をする必要があります。

第2 欠陥マンションについて

では,せっかく買ったマンションが欠陥マンションだったとしたら,どのような対応を取ったらいいのでしょうか。

1. 欠陥マンションとは

平成12年10月から運用が開始された住宅性能表示制度の定める住宅性能表示基準を充たさないもの,あるいは,通常の品質の材料,通常の施工方法,通常の性能・強度に欠けるものです。

2. 対処法

欠陥マンションであることが判明した後の対処法について,いくつか紹介していきます。

  1. 住宅性能表示制度の定める,国土交通省から指定された紛争処理機関によるあっせん,調停,仲裁制度がありますが,住宅性能表示制度を利用して建築した住宅の契約当事者に限定されるので中古マンション購入者には適用されません。
  2. 住宅性能保証制度が平成5年1月から実施されています。この制度は,積立金を支払って登録し,保証書を取得した建設業者,分譲業者に適用されます。構造耐力性能,防水性能の欠陥については10年間,外壁の防水性能の欠陥については7年間,非耐力壁・手すり等の欠陥については5年間,保証されます。内装・設備の欠陥は対象外です。したがって,以上の保証期間内に中古マンションを購入した場合にも適用があります。登録業者が倒産していても,保険制度でカバーされます。
  3. 以上のほか,隠れた瑕疵(普通に見ても分からないような欠陥)については,建設業者や分譲業者に対する民法上の責任追及(省略)ができますが,住宅性能表示制度を利用した住宅については,基本構造部分につき10年間(20年間まで延長も可能)責任追及が可能です。

第3 管理組合

次に,せっかくマンションを買って住み始めても,様々な規約によって制限を受けたり,マンション内外でのトラブルに巻き込まれたりすることもあり得ます。
そんなことにならないよう,気をつけておくこととしては,管理規約や管理組合の存在があります。

1. 管理規約

管理規約については,国土交通省が定める「マンション標準管理規約」が参考になります。

2. 管理組合の問題

管理組合の問題としては,内部の問題として管理費滞納者,不正行為を行っている理事長に対する対処の問題,マンションの共用部分の瑕疵による住民の事故や住民間のトラブル等に対する対処の問題があります。対外的な問題としては,マンションの共用部分の瑕疵や管理の杜撰さが原因で近隣住民に被害を与えた場合の対処の問題等があります。管理組合の損害賠償責任が問われる場合がありますので,保険に加入するなどの備えが必要です。

第4 大規模修繕・建て替え

最後に,中古マンションを購入した場合の問題として,大規模修繕や建て替えのことについてお話しします。
築30年以上経過した古いマンションでは,耐震構造等生命にもかかわる安全性はもちろんのこと,良好な生活環境の維持,整備が住民自身の快適な生活,ひいては,資産価値の維持・向上にもつながるので,大規模修繕あるいは建て替えを検討しなければなりません。

そのためには,区分所有者の合意形成が不可欠ですが,様々な年齢層,生活事情や経済事情も異なるため,管理組合としては,各区分所有者の個別の事情を把握し,適切な対応策を考えることが重要です。

その前提となるのは,何よりも管理組合に対する各区分所有者の信頼ですので,コンサルタントやディベロッパー等専門家の選定等,合意形成にあたっては,管理組合の風通しのよい組織運営が求められます。

以上

マンション管理に関する詳細な情報のつきましては、『弁護士河原崎の個人ページ』もご参照ください。

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