2021年8月31日

相続登記が義務化されます!!

弁護士 金田 恒平

はじめに 

これまで,被相続人(亡くなられた方)名義の不動産を相続人の名義に変更する登記,すなわち相続登記を行うかどうかは任意でした。
その結果,相続登記が行われず,被相続人名義のまま放置されて所有者不明となった土地が増え続け,九州の面積を上回る状況になっています。
この状況が続けば,いずれ,所有者不明の土地は北海道の面積に到達してしまうと危惧されています。

何代にもわたって相続が発生しているにもかかわらず相続登記を行わず放置した結果,ネズミ算式に相続人が増え,不動産の共有者が数十人,百人単位に及ぶ事態に陥り,権利関係が非常に複雑になったケースもあります。
不動産を売却しようとする場合,売却の前提として,まず,共有者が共同で相続登記を申請しなければなりません。
しかし,多数に及ぶ相続人の範囲を確定するため,死亡した相続人や存命中の相続人の戸籍謄本を取り寄せる膨大な作業が必要であることに加え,相続人間で面識がなかったり,そもそも自分自身が相続人になったことすら知らない方がいたりして,相続人の協力が得られず,相続登記を断念するケースもあります。

このように相続登記が未了のため,処分することができず塩漬けになった土地が増加し,冒頭の状況に繋がっています。
このような状況を打開すべく,今年の4月に次の法改正が行われました。 

相続登記が任意から義務へ 放置すれば過料も・・・

相続により不動産の所有権を取得した場合,相続の開始(被相続人が亡くなったこと)を知り,かつ,当該不動産の所有権を取得した事実を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならなくなります。

正当な理由がないにもかかわらず,相続登記の申請を怠った場合,10万円以下の過料が科されることとなります。

この改正法は,3年後に施行されます。 

簡易な「相続人申告登記制度」の創設

相続登記の義務化により相続人の負担が増しましたが,他方で,相続人の負担を軽減するための「相続人申告登記制度」が創設されました。
具体的には,相続登記の申請義務者が,不動産の登記名義人に相続が開始したこと,自分が名義人の相続人であることを申し出れば,相続登記の申請義務を履行したものと扱われます。
相続開始から3年以内に遺産分割協議がまとまらない場合に,相続が開始したことを先に申告しておきたいというケースを想定したものです。

ただし,相続人申告登記は暫定的なものであるため,登記後に遺産分割が成立した場合には,遺産分割の日から3年以内に登記を申請しなければなりません。

この改正法も,3年後に施行されます。 

所有権の登記名義人の氏名または名称,住所の変更の登記の義務化

不動産の所有名義人の氏名や名称,住所に変更が生じた場合は,変更があった日から2年以内に,その変更の登記を申請しなければなりません。
これは,不動産の所有者が転居を繰り返して,登記簿上の住所と現在の住所のつながりがつかず,その所在が分からなくなることを防ぐのが主な狙いです。

正当な理由がないにもかかわらず,氏名や住所の変更登記の申請を怠った場合,5万円以下の過料が科されることとなります

この改正法は,5年以内に施行されます。 

相続等により取得した土地を国庫に帰属させる制度の創設

相続した土地を,法務大臣に申請(窓口は,各地の法務局)し,その承認を得た上で国庫に帰属させる制度が創設されました。

土地を所有し続ける負担が大きく,手放したいと思ったときに国有地にしてもらうのが主な目的ですが,以下のような制限に該当する場合は,この制度は利用できません。

①建物のある土地

②担保権または使用・収益を目的とする権利が設定されている土地

③通路,その他の者による使用が予定されている土地として政令で定める土地が含まれている場合

④鉛やヒ素といった特定有害物質(土壌汚染対策法第2条第1項。法務省令で定める基準を超えるものに限る)により汚染されている土地

⑤境界が明らかでない土地,所有権の存否,帰属または範囲について争いがある土地

ただし,法務大臣の承認を得て所有権を放棄して全て終わりになるわけではなく,10年分の管理費を支払わなければ,国庫に帰属させることはできませんので,注意が必要です。 

相続登記の申請はお早めに!

今後は,相続登記をせずに長期間放置すると過料が発生するため,注意が必要です。

また,2018年7月の相続法改正により,相続により不動産を取得した場合には,登記をしていなければ,第三者に対して,自身の法定相続分を超える権利を主張できないことになっていますので,相続登記をしないことはデメリットがあります。

具体的には,次のようなケースで問題となります。

(設例)

相続人は配偶者Aと子Bの2名,法定相続分は各2分の1。
①被相続人の遺言書に「不動産はAに相続させる」と記載されていました,
あるいは,
②AB間の遺産分割協議により「不動産はAが取得する」と決めました。

このような場合,Aが単独で不動産を取得することになり,Aは単独で不動産をAの名義に変更する相続登記を申請することができます。

しかし,Aが相続登記をしないうちに,BがAに無断で持分2分の1を第三者Cに売却し,その第三者Cが登記を備えてしまったような場合,AはCに不動産全体の所有権を取得したことを主張できなくなってしまいます。

その結果,Aが単独で取得するはずだった不動産がAとCの共有になってしまい,管理や処分に支障をきたしてしまいます。
このような事態に陥ることを未然に防ぐためにも,速やかに相続登記をすることが望ましいといえます。

 

以上のとおり,今般の法改正により,相続登記についてスピーディーな対応が求められることとなりましたので,相続登記や遺産分割についてお悩みの方は,是非,当事務所までご相談ください。

 

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