2026年1月31日

譲渡担保契約及び所有権留保契約が立法化されました

弁護士 岡田宜智

はじめに

令和7(2025)年530日、「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」(以下、「譲渡担保法」といいます。)が成立しました(施行は、公布(令和766日)から26月を超えない範囲で政令で定める日とされています)。
譲渡担保契約や所有権留保契約については、これまで明文の規定がなく、ルールの形成は判例に委ねられていましたが、これを立法化したものであり、非常に重要な改正が図られたといえます。

譲渡担保法のポイント

法務省が公開している譲渡担保法の概要によれば、譲渡担保契約及び所有権留保契約の効力、実行方法、破産手続における取扱い等について、判例法理を基に明文化・明確化するとともに、一部の規律を合理化する新法を制定したとのことです。

主な改正項目としては、

①譲渡担保契約の効力について

②集合動産・集合債権を目的とする譲渡担保権について

③譲渡担保権と他の担保権の優劣関係について

④実行に関する規律について

⑤倒産手続における取扱いについて

が挙げられています。

盛りだくさんな内容で、このブログですべて取り上げて説明することはできませんので、詳細は法務省のHP等で確認していただければと思います。

譲渡担保契約と所有権留保契約の定義

譲渡担保法において、これまで解釈に委ねられていた譲渡担保契約と所有権留保契約がどのように定義されたのかをまとめます。

譲渡担保契約

金銭債務を担保するため、債務者又は第三者が動産、債権その他の一定の財産を債務者に譲渡することを内容とする契約と定義されており、抵当権の目的とすることができる財産は除かれています(法21号)。

これまでは、譲渡できるものであれば、どのような財産でも譲渡担保権の設定が可能とされていました。
譲渡担保法においては、不動産を目的とする譲渡担保契約は、対象外となっています。

所有権留保契約

2つの類型が規定されています。

①動産の譲渡を内容とする二当事者間の契約において当事者の一方に所有権を留保することを合意するもの

②三者間の所有権留保契約をするもの(カード会社などの第三者が目的物の代金債務を立替払いし、買主に対する求償債務を担保するために目的物の所有権が、当該第三者に留保される契約)

②の類型については、すでにこのような約款を利用しているカード会社もあり、明文で認められたものといえます。

なお、所有権留保契約の目的については、動産に限定されており、基本的に譲渡担保契約の規定が準用されています(法111条)。

対抗要件が不要な場合

譲渡担保法は、牽連性のある金銭債務のみを担保する動産譲渡担保権及び留保所有権は引渡しがなくとも第三者に対抗することが出来ると規定しました(法31条1項、1092項)。

判例(最判H30.12.7)は、売買代金細工を担保するための所有権留保について、引渡しがなくとも第三者に対抗できるとしていたところ、譲渡担保法は、牽連性のある金銭債務のみを担保する動産譲渡担保権及び留保所有権について、判例と同様の規律を定めたものといえます(法311項、1092項)。

ここで、牽連性のある金銭債務とは、

①譲渡担保動産の代金債務(同条項1号)

②譲渡担保動産の代金債務の債務者から支払いを受けた者が当該代金債務を履行したことによって生ずるその者の当該債務者に対する求償権にかかる債務(同条項2号)

をいいます。

牽連性とは、債権と目的物との間に密接な関係性があることを指す用語です。①や②の類型は、まさに密接な関係性があるといえますが、他方で、単に貸付をして、当該貸付金をもとに債務者が動産を購入した場合、債権者がその動産に譲渡担保権を設定しても牽連性はないということになります。
牽連性のない金銭債務を担保する動産譲渡担保の場合、第三者に対抗するためには、引渡しを受ける必要があります(民法178条)

占有改定劣後ルール

従来、動産譲渡担保権の対抗要件である「引渡し」には、占有改定を含むと解されていました。

しかし、占有改定は、外形的な支配の移転を伴わず、外部から引渡しがなされたかどうか認識することが難しいため、新たに動産に担保権を設定しようとする者は、優先する担保権の有無を判断することができず、担保価値の把握が困難という不都合がありました。

そこで、譲渡担保法は、占有改定により対抗要件を備えた動産譲渡担保権者は、それ以外の方法で引渡しを受けた動産譲渡担保権者に劣後することとし、譲渡担保権の公示性を高めました(法361項)

おわりに

上述のとおり、譲渡担保法による改正内容は多岐にわたり、複雑な内容を含むものです。このブログで紹介した内容は、今回の改正のごく一部にすぎません。

法改正の内容にしたがい、我々弁護士も知識をブラッシュアップしていく必要があります。

以上

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