2022年10月31日

成年年齢引下げによる影響

弁護士 柳沢里美

はじめに

民法の改正により、202241日から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。

民法の成年年齢には、確定的に有効な法律行為(契約など)を単独で締結することができる年齢親権に服することがなくなる年齢という2つの意義があります。

改正から約半年が経過しましたが、この成年年齢の引下げによって、実際に何がどのように変わり、どのような影響が生じたのでしょうか。 

成年年齢引き下げにより変わったこと

◆親の同意がなくても確定的に様々な契約をすることができます。

携帯電話の契約、クレジットカードを作る、アパートを借りる、ローンを組むなどの様々な契約を親の同意がなくても一人でできるようになりました。

未成年者の場合には、契約をするには親の同意が必要で、親の同意を得ずにした契約は取り消すことができます(未成年取消権)。
これは未成年者を消費者被害から保護するために認められた権利なので、成人となり一人で締結した契約については、未成年取消権を行使することができません。

◆その他、次のことができるようになりました。

10年間有効なパスポートを取得することができます。

公認会計士や司法書士などの国家資格に基づく職業に就くことができます。

性同一性障害の人は性別の取り扱いの変更の審判を受けることができます。 

成年年齢引き下げにより変わらないこと

飲酒や喫煙の年齢制限は健康被害への懸念などから20歳のまま変わりません。

公営競技(競馬、競輪、オートレース、モーターボート競走)の年齢制限もギャンブル依存症対策などの観点から20歳のまま変わりません。

大型・中型自動車免許の取得なども従前の年齢要件と変わりません。

少年法への影響

今回の民法の成年年齢の引下げは、少年法の適用対象年齢には影響を与えていません。

少年法上は、20歳未満の18歳、19歳の者も「少年」に含まれます。
もっとも、少年法では、18歳と19歳の少年は「特定少年」として、逆送対象事件や実名報道などについて17歳以下の少年とは異なる特別な取り扱いがなされます 

結婚ができるようになる年齢

結婚できるようになる年齢は、これまで男性は18歳、女性は16歳とされていましたが、女性の年齢が引き上げられ、結婚できるようになるのは男女ともに18歳となりました。

また、以前は未成年者が結婚する場合には父母の同意が必要でしたが、18歳で成人となれば父母の同意なく結婚することができます。

養子を迎えられる年齢

改正前の民法では、成年に達すれは養親となり養子を迎えられるとされていました。
しかし、今回の改正では、養親となれる年齢は、従前どおり20歳のままとなっています。

養育費の支払期間への影響

成年年齢の引下げにより、養育費がもらえるのも18歳までになってしまうのでは?と懸念されていました。
しかし、成年年齢が引下げられたのに伴い、当然に養育費をもらえるのが18歳までになってしまうということはありません。

養育費とは、子どもが経済的・社会的に自立するまでの間、衣食住に必要な費用や教育費、医療費などの子どもの監護に必要な費用です。
このように養育費は未成熟な子の監護に必要な費用なので、その支払期間が成年までと決まっているわけではありません。

◆養育費の支払期間を「成年に達する日まで」と定めている場合

では、改正前の協議や調停などで、養育費の支払期間を「成年に達する日まで」と定めてしまった場合はどうなるのでしょう。

これについては、取り決めをした当時は、成年年齢が20歳であったため、その後、成年年齢が18歳に引き下げられても、20歳までの支払い義務があると考えられており、実務上もそのように運用されるものと思われます。

◆養育費の支払期間を「満20歳に達する日まで」と定めている場合

改正前の協議や調停で、養育費の支払期間を「満20歳に達する日まで」などと定めた場合、その後の成年年齢の引下げは、養育費の支払期間を「満18歳に達する日まで」と変更して短縮する理由になるのでしょうか。

一度合意した養育費の金額や支払期間については、その後、それを変更すべき特別な事情が生じた場合には、変更が認められることがあります。
しかし、法改正により成年年齢が引き下げられた事情だけでは、支払期間の短縮は認められないとされています。

◆これから養育費の支払い期間を取り決める場合

改正後の今後、養育費の支払期間を取り決める際には、18歳までとすることになるのでしょうか。

そもそも養育費は未成熟の子のための費用なので、子どもが成年に達しても経済的・社会的に自立していない場合は、養育費が必要となります。
したがって、成年年齢が18歳に引き下げられたからといって、今後の養育費の支払期間が当然に18歳までになるとは考えられていません。

もっとも、これから養育費に関する取り決めをする場合は、将来の紛争を避けるため、「満20歳に達する日まで」や大学などに進学する場合は「満22歳に達する日まで」などと明確に終期を定めた方がいいでしょう。

おわりに

改正から約半年が経過した現時点において、18歳・19歳の消費者トラブルが拡大したなどのデータはまだ確認されていませんが(国民生活センターによると、20224から8月の間に18歳・19歳からの消費生活センターへの相談件数は3396件で前年同期と同程度とのこと(日本経済新聞))、非常に懸念されるところです。

成年となる若者は、大人になり自由を得ることに伴い、重大な責任も負うことをよく自覚してほしいと思います。

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