2022年5月31日

相続財産管理人の選任を要する場面とは(相談例を踏まえて)

弁護士 鈴木幸子

 最近,生涯独身できょうだいもいない方(Aのケース)や,子供の居ないご夫婦(Bのケース)の遺産相続の相談が相次ぎました。
そのうちの一例を紹介します。

【Aのケース】

Aのケースは,亡くなった方(以下「被相続人」といいます。)の従兄弟の妻(以下「Cさん」といいます。)からの相談です。

Cさん家族は長年にわたって,被相続人と家族同然の付き合いをしてきました。
そのため,被相続人が高齢者施設に入居する際にはCさんが身元保証人となり,月に一度は施設を訪れて被相続人の外出に付き添ったり,被相続人が体調を崩して入院する際には家族として手続や身の周りの世話をしました。
そして,亡くなる5年くらい前からは,預貯金の管理を任されるようになりました。被相続人が亡くなったときには,遺体の引き取り,葬儀,役所への届出,施設の諸費用の精算等の手続一切を執り行いました。

被相続人の遺産は約700万円の預貯金でした。Cさんは,家庭裁判所に被相続人の相続財産管理人の選任の申立(民法952条1項)特別縁故者(Cさんのように生前に被相続人と特別の縁故があった者)に対する財産分与の申立(民法958条の2)をすることにしました。
被相続人には法律で定められた相続人(戸籍謄本等で調査したところでは,両親はすでに他界し,夫や子供もなく,きょうだいもいません。Cさんは法律で定められた相続人ではありません。)がいないため,事実上Cさんが管理している相続財産を,法律上管理する権限のある,家庭裁判所が選任した相続財産管理人(通常弁護士等の専門職が就きます。)の管理に移行する必要があるのです。

ちなみに,相続財産管理人の報酬を含めた相続財産の管理費用は本来相続財産から支出するのですが,相続財産からの支出が見込めない場合は,選任申立の際に申立人が家庭裁判所の定める予納金を納付する必要があります。
予納金の金額は,管理業務の量,難易度,相続財産の内容などを考慮して定められます。

相続財産管理人が選任されると,相続財産管理人の選任の公告(2か月),債権申出の公告(2か月),相続人捜索の公告(6か月)を経て,最終的に相続人が現れず,債権者も現れない(現れたとしても債務が相続財産を下回る)ことが判明した場合は,3か月以内に特別縁故者に対する財産分与の申立をすることになります。財産分与を認めるか否か,認めるとして相続財産の全部なのか一部なのかは,特別縁故者の被相続人との関わり方や相続財産の内容等の諸事情を考慮して,家庭裁判所が審判します。

【Bのケース】

Bのケースは,亡くなったご夫婦の妻の姪(以下「Dさん」といいます。)からの相談です。

亡くなったご夫婦の妻(以下「被相続人1」といいます。)はDさんの父の姉です。

被相続人1とDさんの父(きょうだいは二人だけです。)は,二人の父親が借地上に建てた2棟の建物をそれぞれ相続しました。その後,地主から借地の買取りを求められ,資力のあったDさんの父が単独で借地を買い取りました。
Dさんの父が相続した建物にはDさんの家族が居住し,被相続人1が相続した建物はしばらく空き家でしたが,亡くなる20年ほど前から夫婦で住むようになりました。
その後,Dさんの父が亡くなり,父名義の土地と建物は協議のうえDさんの母が相続しました。なお,Dさんにはきょうだいはいません。
やがて被相続人1が亡くなり,被相続人1名義の建物は,法律で定められた相続人である夫(以下「被相続人2」といいます。民法890条。)とDさん(Dさんの父はすでに亡くなっているので,Dさんの父の相続分をDさんが相続します。これを代襲相続といいます。民法889条,同887条2項。)が,それぞれ持分4分の3,持分4分の1の割合で共同相続することになりました(民法900条3号)。
ところが,まもなく,被相続人2が妻の後を追うように亡くなってしまいました。
被相続人2は4人兄弟でしたが,すべての相続人が相続放棄をしてしまいました。Dさんの母と被相続人1・2夫婦とは同じ敷地内に住むものの,特別縁故者と言えるほどの関係にはなく,Dさんも結婚して母とは別に暮らしているため,同様です。しかし,Dさんとしては,高齢の母名義の敷地内に被相続人1名義のままの老朽化した空き家を放置しておくわけにもいきません。

結局,Dさんは,利害関係人として被相続人2の相続財産管理人選任の申立をし,選任された相続財産管理人の協力のもと,被相続人1名義の建物を処分するほかないとの結論に至りました

【2つのケースも含め,相談例から思うこと】

今後少子高齢化に拍車がかかることが予想され,同様のケースが増えると考えられます。
上記のように,権利関係が複雑になり,解決には時間がかかったり,多額の費用がかかったりします。
ですから,面倒ではありますが,自らの死後関係者にできるだけ迷惑がかからないように,元気なうちに,戸籍謄本類を取り寄せするなどして相続関係を調査する複雑な権利関係は生前に関係者と話し合って整理する遺言書を残す,等の準備をしておくこと,また,自らが相続人となった場合には,相続の手続は先延ばしにしないこと,が必要であると痛感する次第です。

                                                        

 

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