2018年5月1日

最近の判例から(最高裁平成29年12月5日決定)

弁護士 沼尻隆一

 

今回紹介する事案ですが,協議離婚した際に,父母のうち,子の親権者と定められた方の親(本件では父親)が,親権者ではない方の親(本件では母親)に対し,「親権にもとづく妨害排除請求」という「民事訴訟」の手続により,子の引き渡しを求めた事案です。

 

最高裁は,このケースに関し,離婚した父母のうち親権者と定められた一方がそうでない他方の親に対し,民事訴訟の方法で,親権にもとづく妨害排除請求としての子の引渡しを求める方法それ自体は認めましたが,本件の事例に関しては,親権者と定められた父親による妨害排除請求は,①対象となる子が7歳であり父母が別居してから4年以上,親権者でない母親のほうが監護していた,②その母親は,親権者の変更を求める調停を家裁に申し立てていた,③父親は,民事訴訟による妨害排除請求という方法ではなく,家裁に対し,「子の監護に関する処分」として子の引き渡し(の審判等)を求めることもできるのにそういった方法は採っていない,などといった理由により,父親の本件子の引き渡し請求を「権利の濫用」にあたるとして認めませんでした。

 

この点,今回の最高裁決定の内容について,民事訴訟による「妨害排除請求」として子の引き渡しが認められるという点については,私見では正直言って,若干の違和感を感じなくもありません。

というのは,民事訴訟という手続きは,基本的には「当事者主義(主張や立証は当事者の自由と責任にゆだねられ,裁判所は積極的に職権を行使しないという建前)」が採られており,家庭裁判所の「審判」のように,裁判所による後見的な役割は,本来期待できないからです。

 

今回のケースでも,民事訴訟の手続きではなく,家庭裁判所に対し,「子の監護に関する処分」として子の引き渡しを求める家事審判を申し立てるのが実務上の通常のやり方だと思いますので,妨害排除請求民事訴訟という方法は,ややイレギュラーな感が否めません。

 

とはいえ,本来的な建前はそうであっても,「親権を行う者は,子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し,義務を負う」旨を定めた民法820条の趣旨に則り,前述のような具体的な事情などを考慮した上で,結論として,本件父親からの請求を権利濫用として退けた本件判例は,事案としては妥当な判断を示したものと考えられます。

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