法制審で語られる「社会内処遇」を考える

弁護士 岡田宜智
現在,法制審議会少年法・刑事法部会(以下「法制審」といいます)において,少年法の適用年齢引下げが議論されています。
そして,少年法の適用対象外となる18歳,19歳の再犯防止のためにどのような措置が有効かという議論からひいては成人一般に対して行う「社会内処遇」(刑事施設ではなく社会内において再犯防止措置を講じること)の議論へと問題の対象が拡大されている状況にあります。
ここで,現在議論されている「社会内処遇」のうち,「起訴猶予に伴う再犯防止措置」について少し説明したいと思います。
同措置は,被疑者の犯した罪が軽微で起訴猶予相当であっても,検察官が改善更生のため働きかけが必要と判断した者に対しては,遵守事項を設定し(例えば,福祉的支援を受けることを義務づける等),一定期間検察官が指導・監督を行うことができるようにする,というものです。
一見すると再犯防止のために有益なものと思われるかもしれません。
しかし,検察官はあくまでも刑事手続における一方当事者であり,裁判官のような判断者ではありません。
裁判所による判断を経ず,検察官が自ら被疑者を監視し,被疑者の権利・自由を制約するような処分を行いうるとすれば,刑事手続における検察官本来の役割を逸脱するものではないでしょうか。
また,起訴猶予となる代わりに遵守事項を義務づけられた場合,そこに本人の自発的な意思はあるのでしょうか。
「福祉」は,本人の自立的支援を目的とするものであり,本人の意思によることが前提です。
検察官によって事実上強制されるに等しい福祉は,社会福祉の本来の在り方とは相容れないものではないでしょうか。
埼玉弁護士会では,このような「起訴猶予に伴う再犯防止措置」をはじめとして,現在法制審で議論されている「社会内処遇」について,強い危惧感を有しています。
そこで,この問題を考えるシンポジウム(主催:埼玉弁護士会/千葉県弁護士会,共催:日本弁護士連合会/関東弁護士会連合会)を下記のとおり開催することを予定しています。
  「法制審で語られる『社会内処遇』を考える」
~これって「刑罰」?福祉の「支援」が「監視」に変わる?~
【日時】 平成30年4月7日(土)
     開場 13:00
     開演 13:30 (~17:00予定)
【場所】 弁護士会館2階 講堂「クレオ」
     東京都千代田区霞ヶ関1-1-3
【内容】 ・基調講演
      内田博文さん(九州大学名誉教授)
      水藤昌彦さん(山口県立大学教授)
     ・福祉の専門職によるパネルディスカッションほか 
私も運営委員の一人として,このシンポジウムに微力ながら携わっています。
入場無料,予約も不要なので,当日お時間のある方は,お誘い合わせの上,是非ご来場いただけると幸いです。