2017年12月4日

マンション建替えの話

弁護士 河原﨑友太

 

 

今年11月に実施されたマンション建替等専門家相談講習会に,昨年に引き続き参加してきました。

マンション建替えに関する相談窓口となる弁護士と一級建築士を対象とした研修です。

 

そこで学んだことも含め,少し建替えの話を。

 

マンション建替えには,お金の問題が付きまといます。

 

一つは,建替え工事そのものの費用。

一つは,建替え工事期間中の仮住まい,引越し等の費用。

 

建替え工事そのものの費用については,区分所有者の皆さんが積み立ててきた修繕積立金を充てることが原則として認められていません。

したがって,建替えに参加する住民が負担することになります。

ただし,全費用を住民が持つとなれば,金銭面の課題があまりにも大きく,建替えは実質不可能となるでしょう。

多くの場合には,デベロッパーと呼ばれる事業協力者を募り,一部所有権を購入してもらうなどの方法によりこれを賄います。

 

例えば,建替え前が30戸のマンションを,建替え後に60戸にできるのであれば,単純計算して,30戸をデベロッパーに購入してもらい,この購入資金を建替え費用に充てるということができます。

デベロッパーによって購入された30戸のマンションは,デベロッパーにより売りに出され,デベロッパーはここから利益を上げることになります。

 

このような方法によって建替え費用の捻出ができれば,場合によっては,建替え後マンションの取得にあたり,建替え前区分所有者が修繕積立金以上の費用を出すことなく,建替え後マンションを取得できるということもあります。

 

このような「持ち出しなし」の場合を,「還元率100%」と言います。

還元率が100%を超えてくれば,仮住まい中の費用や引越し費用も分配できる可能性もあります。

 

ただ,冒頭で述べた研修では,近年は還元率100%で建替えを実施することができるマンションは少数との報告がありました。

つまり,大多数のマンションでは,還元率が100%を割り,建替え後の区分所有権取得にあたっては,住民の「持ち出し」が必要ということです。

 

こうなると,なかなか建替え決議に賛成できないという人も多く出てきそうです。

 

平成26年に,マンション建替え円滑化法が改正され,一定の場合には建替え後のマンションに対する容積率を緩和することができるようになりました。

容積率は,敷地面積に対する建物総床面積の割合を示していますので,これが緩和されれば,より多くの部屋を作ることが可能になります。

より多くの部屋が作れるのであれば,デベロッパーに売却できる部屋も増えることになりますから,還元率の上昇を期待することができます。

 

現状,費用の面で建替えの話が進まないという管理組合も多いのではないかと思います。

他方で,旧耐震構造マンションにおいては,建替えを進める必要性が年々高まっていると言えます。

 

このようなマンションでは,有志による建替え勉強会を立ち上げ,少しずつ検討を進めてみることをおススメします。

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