医学を選んだ君に問う

弁護士 岡田宜智

 

標題は,元金沢大学付属病院長・河崎一夫氏の寄稿文(朝日新聞・平成14年4月16日付け朝刊)のタイトルです。

 

修習生のとき,これから法曹として生きていく君たちに読んでもらいたいものがあるといって司法研修所の教官から当該新聞記事の切り抜きのコピーをいただきました。

 

河崎氏は医師の視点から医師という専門職の責任の重さを説いていますが,多くの部分で弁護士にも相通じる指摘がなされています。

 

・「君自身が医学を好むか嫌いかを度外視して,医学を専攻した事実を受容せねばならない。」

 

・「奉仕と犠牲の精神はあるか。医師の仕事はテレビドラマのような格好いいものではない。重症患者のため連夜の泊まり込み,急患のため休日の予定の突然の取り消しなど日常茶飯事だ。死に至る病に泣く患者の心に君は添えるか。」

 

・「医師の知識不足は許されない。知識不足のまま医師になると,罪のない患者を死なす。知らない病名の診断は不可能だ。知らない治療をできるはずがない。そして自責の念がないままに「あらゆる手を尽くしましたが,残念でした」と言って恥じない。こんな医師になりたくないなら,「よく学び,よく遊び」は許されない。医学生は「よく学び,よく学び」しかないと覚悟せねばならない。」

 

・「君自身や君の最愛の人が重病に陥った時に,勉強不足の医師にその命を任せられるか。医師には知らざるは許されない。医師になることは,身震いするほど怖いことだ。」

 

・「心の真の平安をもたらすのは,富でも名声でも地位でもなく,人のため世のために役立つ何事かを成し遂げたと思える時なのだ。」

 

仕事でついつい弱音を吐きそうになったとき,この切り抜き記事を読み返して背筋を伸ばしています。