消費者契約法改正(1)

弁護士 鈴木幸子

 

『消費者契約法』は,消費者の利益を保護するために,平成13年に施行されました。その後,平成18年,平成20年,平成25年に改正が重ねられ,消費者団体訴訟制度の導入,救済の対象の拡大など消費者の利益の保護が進められました。

 

そして,平成28年6月,さらに法改正が行われました。それは,この間,高齢化が進むなどの社会や経済の変化により,高齢者の消費者被害が増加していること,蓄積された裁判例や消費生活相談例を踏まえてより適切な具体的措置を盛り込む必要があること,などの理由によります。

改正法の施行は,先の通常国会で成立した『改正民法』の施行(2020年と言われています)と同時期になります。

 

以下,何回かに分けて法改正の主な内容をご紹介しましょう。

 

まずは,「過量な内容の消費者契約の取消し」について。

 

認知症等の高齢者を勧誘して,同じ健康器具を何台も,健康食品を食べきれないほど大量に,着物や宝飾品を大量に販売する等の被害が多発していることが法改正のきっかけとなりました。

「過量な内容」とは,上記の例のように,販売契約の目的となる物の内容,販売の条件,その消費者の生活状況などから考えて,その消費者にとって必要な通常の分量を著しく超えるものです。

販売業者が,「その消費者にとって必要な通常の分量を著しく超えるもの」であることを知りながら勧誘して販売した場合には,その消費者は契約を取り消すことができることになりました。

取消権を行使できる期間は,契約を取り消すことができることを知ったときから1年間です。また,契約を結んだときから5年間経過すると取消権は行使できなくなります。

 

消費者が取消権を行使した場合には,販売業者はその消費者に販売代金全額を返還しなければなりませんが,その消費者は,販売業者に現に利益を受けている限度において返還すれば良いことになります。つまり,一部を消費してしまった場合には,残っている物だけを返還すれば良いのです。