さよなら東京スカイツリー

弁護士 堀 哲郎

 

自宅屋上から東京スカイツリーを間近に(直線距離で約2.5㎞離れていますが,とても高い(634m)ので間近に感じます。)眺めることができます。

東京スカイツリーの建設が始まったのは,2010年4月には建設途中(天望(展望ではありません。)デッキより上がない状態)の東京スカイツリーを自宅屋上から眺めることができるようになったので,2009年以前からではないかと思います。

因みに,その頃購入した東京23区の区分地図には,今の東京スカイツリーがある場所には「新東京タワー建設予定地」と記されています。

そんなわけで,2010年4月から毎月1回自宅屋上から東京スカイツリーの定点撮影(私の場合,同じ場所から,三脚を使わずにデジカメで写真を撮るだけのことですが・・・。)を続けました。

当時,定点撮影に精を出していた人は多く,中には毎日同じ時間に撮影を続けたつわものもいたようです。

私の定点撮影は東京スカイツリー完成後の2012年6月をもって終了しました。

以後は,写真を撮ることはなく,晴れた日にときどき屋上に出て眺めるだけでした。

ところが,つい最近,愕然とする事態に遭遇しました。

ある日,久しぶりに屋上に出てみると,いつもの方向に東京スカイツリーが間近に見えていました。

それはいいのですが,東京スカイツリーと同じ方向の,自宅から約100m前方に,高層ビル建設に使う大型クレーンが設置されているのが目に飛び込んできたのです。

急いで現場に行ってみると,それまであった木造2階建の長屋が取り壊されてなくなっており,14階建マンションの建設計画が掲示されていました。

つまり,このマンションが完成すれば,東京スカイツリーは完全に見えなくなってしまうのです。

普通商業・併用住宅地区なので,「眺望権の侵害だぁ!」などと叫んでみても誰も相手にしてくれません。

そう,まさに「さよなら東京スカイツリー」なのです。

これが見納めということで,万感の思いを込めてシャッターを押したのは言うまでもありません。

 

思えば30年程前は,周囲には高層建物はほとんどありませんでした。

隅田川の花火大会の日は,屋上ならずとも,2階から,あるいは自宅前の道路上からでも打ち上げられた花火を愛でることができました。

もともと下谷七福神(元三島神社(寿老神),入谷鬼子母神(福禄寿),英信寺(三面大黒天),法昌寺(毘沙門天),弁天院(朝日弁財天),飛不動尊(恵比寿神),寿永寺(布袋尊))に囲まれた地域で,休日には下谷七福神巡り(これに小野照崎神社を加え八社巡りとも呼ばれています。)を楽しむ人々をちらほら見かける,静かな下町情緒溢れる地域なのです。

それが,あれよ,あれよという間に高層マンションに取り囲まれてしまい,残念ながら下町情緒は薄れてゆくばかりです。

 

ところで,「さよなら」とは言っても,私自身は,東京スカイツリーには一度も上ったことはなく,近くまで行ったことすらありません。

遠くから眺めるだけでした。

 

そこで最後に一首

東京スカイツリーは遠くにありて眺めるもの

近寄るところにあるまじや(笑)