同窓会による在校生支援活動~所沢高校~

弁護士 河原﨑友太

 

今月4日の土曜日に,母校である所沢高校を10数年ぶりに訪れました。

目的は同窓会による在校生支援活動の一環としての講演で,土曜日の午後に時間を割いて出席していただいた10数名の生徒さんと,10名弱の先生方を対象にお話させていただきました。

 

「高校生にどんな話をしようか。」

 

前半は,私の高校時代の話から大学受験,司法試験受験の話をさせていただこうと考えていましたが,後半で取り上げる「司法」の話について,何を題材にして話したら良いのか,

講演の直前まで,「高校生の理解力」と「高校生の興味」の判断がつかずに,悶々とする日々を過ごすことになったわけです。

 

とりあえず,実際の判例文を読んでもらおうというところを決め,判例文を選択する作業を開始しました。

 

当初は,裁判でどのように「事実」を認定するのかという話をしようかと思い,とある不貞慰謝料請求事件を取り上げ,不貞行為があったか否かをどのように認定するのかを,

実際の判決文を紐解きながら考えてもらおうかと思いましたが,「高校生の興味」を引き出すことができても,さすがに題材としてどうかということもあり,引っ込めることにしました。

 

次に,選挙権年齢18歳への引き下げに絡めて,議員定数不均衡の話を取り上げようかと思い,どの裁判所の判断を取り上げるかと,復習がてら読み進めたところ,

判決文を読んでもらうことはやはり難しいようの思え,これも引っ込めました。

 

散々,悶々とした結果,最終的には,平成25年9月4日最高裁大法廷決定『嫡出子と非嫡出子の法定相続分の差別的取扱いを定める民法900条4号但書前段』の違憲決定を取り上げることにしました。

 

この裁判は,法律婚夫婦(婚姻届を提出した戸籍上の夫婦)の間に生まれた子(嫡出子)と法律婚ではない男女から生まれた子(非嫡出子)との間で,

『嫡出でない子の相続分は,嫡出である子の相続分の2分の1とし』と規定されていた民法900条4号但書前段の差別的取扱いの是非を問うものです。

 

違憲派・合憲派どちらの理屈も理解はしやすいと思い,また,どんな題材でも多少は難しいだろうとあきらめ,

更には,そろそろ決めないとまずいと思い「エイヤーっ」と決めたわけですが,

結局,講義後は「理解してもらえたかな」と大きな不安を抱いたまま終えることになりました。

 

ところが,後日届いた生徒さんからの感想文を拝見した限りは,どうやら,難しかったかなという心配は杞憂で終わったようです。

いただいた感想文の一部を引用させてもらったものです。

 

『人々の考えは時代によってどんどん変わっていくから,人々の考えと法がずれていくと,だんだん人々を縛るようになっていってしまうと思った。』

 

当該条文が制定された当時の法律婚を大事に考えていた家族観から,法律婚を大事にしながらも「個」を大事に考えるようになった時代変化が判決に影響しているという点をきちんと理解してくれた感想文に,

私の杞憂はなんだったのかという感想を抱くとともに,母校の生徒さんたちの頼もしさにうれしく思った講演会となりました。