刑事訴訟法の改正にどう立ち向かうか!?

弁護士 吉岡 毅

 

本日,「改正刑訴法全国一斉研修会」の講師をすることになっています。(どうも今年は講義・講演が比較的多い年のようです。なお, 主な講演等の実績についてはコチラ をご覧ください。)

今日の研修会では,2016年5月24日に成立した「刑事訴訟法等の一部を改正する法律」について講義します。


2009年に起こった厚生労働省の村木さんのえん罪事件(障がい者郵便制度悪用事件)を出発点として,過酷な取調べの実態や検察の腐敗が次々と明らかになり,取り調べの可視化(録音・録画)を実現するための特別部会が設置されました。
ところが,その特別部会では,警察も検察も(それを陰日向に支える裁判所も),日本の取調べが虚偽自白とえん罪を大量生産している現実から目を背け,可視化に強く抵抗し続けました。それどころか,国民からの捜査の適正化の求めを無視して,司法取引の導入や通信傍受(盗聴)の拡大など,捜査権限の大幅強化を声高に主張し続けました。

 

その結果,先に成立した改正刑事訴訟法では,捜査権限の拡大強化と引き替えに(抱き合わせで),裁判員裁判対象事件など一部の事件についてだけ取調べの可視化が定められることとなったのです。

 

……これは極めて残念な結果ですが,可視化による取調べの適正化という目的に限って言えば,「半歩前進」であるのも事実です。
この改正刑訴法に,全国の刑事弁護人たちがどのように対応していくか?
その日々の実践がきっかけとなって,今後の日本の刑事司法・刑事弁護を大きく変えていくかもしれないのです。

 


そこで,日弁連刑事弁護センターは,今回の研修会のために特別に養成した講師陣(私を含む)を全国各地に派遣し,刑事弁護人として活動する日本中のすべての弁護士を対象に,各地で一斉に,ほぼ同内容の研修を開催することにしました。
埼玉弁護士会には,私ともうお一人(仙台の先生)が担当講師として派遣されており,それが本日開催の研修会というわけです。
まあ,日弁連から講師派遣されたと言っても,私の場合,研修会場は事務所の近所のホールなので,歩いてすぐですが……。

 


ちなみに,弁護士業界内のイメージ調査(?)によると,埼玉は,刑事弁護に熱心な弁護士が多い土地柄と考えられているようです。
本日の参加者は100名弱の予定と聞いておりますが,埼玉で刑事弁護に携わる弁護士の人数からすると,やや少ない印象です。

 

もっとも,改正刑訴法の研修は,今後も引き続き何度も行われます。
弁護士は,いつでも日々勉強,いつまでも日々研鑽です。
我らが埼玉の刑事弁護人仲間たちが,揃って改正刑訴法のエキスパートとなる日も,そう遠くないことでしょう。