秘密基地

弁護士 岡田宜智

 

私は,結構ラジオを聴く派なのですが,夏休みの季節になると,ZoneというガールズバンドのSecretbaseという曲がラジオからよく流れてきます。
非常に甘酸っぱく郷愁にかられる良曲なので,私も好きな一曲です。

 

同曲の歌詞のような思い出とはかけ離れますが,私も小学生のとき,友人たちと秘密基地を作っておりました。
あちこちの公園に出かけては,公園の端の方の背の高い草が生えている一角に段ボールを敷いたりして,それを秘密基地と呼んでいました。
ただ,一番大がかりに作っていたものでは,マットレスを敷き,段ボールで屋根を設置する等,なかなか凝った秘密基地を作っていました。

 

私たちが秘密基地で何をやっていたかというと,流行っていたカード等を交換したり,家に持って帰れないような本を隠しておいたり,ただただ話をしたりという他愛もないことがほとんどだったのですが,私はその秘密基地で過ごす時間が非常に好きでした。

 

もっとも,学校の校庭でサッカーをしたり,プールに通ったり,駄菓子屋さんに行ったりと秘密基地以外にも楽しいことは沢山あって,小学生もなかなか忙しく,毎日秘密基地に行っていたわけではありませんでした。

 

ある日,数日ぶりに上記の大がかりな秘密基地に行ったときのことです。
私たちが必死に作り上げた秘密基地が跡形もなく消え去っておりました。
遠くのゴミ捨て場からみんなで頑張って運んだマットレスが消失し,私たちの私物も何もかもきれいさっぱり無くなっていたのです。
2,3日前まであったはずの,私たちの居場所が突然失われた事実に本当に唖然としたのを覚えています。

 

私たちは大人たちが勝手に処分したのだろうと思いました。
もともとは勝手に公園の一角を占拠していた私たちが悪いのです。
しかし,事前に何の警告もなく勝手に処分してしまうのはどうなのかと,小学生ながら私たちはとても憤慨しました。

 

やはり一方的に何かをやられてしまうというのは,気持ちいいものではありません。
大人になった今ではなおさらそう思います。
私は,そういった理不尽なことで困っている,憤っている人のための仕事がしたいと思い,弁護士を目指しました。
あまり意識したことはありませんでしたが,もしかしたら幼少期の体験は私が弁護士を目指した一つの理由になっているのかもしれません。
ラジオから流れるノスタルジックな曲を聴いて,ふと幼少期を振り返り,そう思った今日この頃です。