「特定秘密保護法」は廃止するしかない(6)

弁護士 鈴木幸子

 

特定秘密保護法が施行されて1年半が経過した。政府が秘密情報を抱え込み,国民の「知る権利」が損なわれないようチェックする機関として,衆参両院にそれぞれ情報監視審査会が設置された。では,この間,情報監視審査会は十分にチェック機能を果たしてきたと言えるのだろうか。

 

前回でも触れたとおり,各省庁から特定秘密と指定された情報は2015年6月時点で382件に及んだ(2015年末時点で443件)。但し,特定秘密の項目リストを見てみると,例えば「国家安全保障会議の議論の結論」「日米安保協力に関する検討,協議」などのように,極めて漠然とした内容であり,指定された情報に関する文書の一覧表も提出されなかった。これでは,特定秘密の具体的なテーマすら判然とせず審査のしようもない。情報監視審査会では,聞き取り調査等で実態を把握しようと試みたようだが,案の定,各省庁は詳しい説明を拒否したとのことである。情報監視審査会は,本年3月末,さらに,政府に対し「具体的な内容がある程度想起されるような記述」にするよう求めたが,それを受けて,政府が国会に提出した2015年末時点の「特定秘密保護法の運用状況」に関する国会への報告書では,相変わらず「自衛隊の運用計画に関する情報」「警察の人的情報源等となった者に関する情報」など漠然とした表現が並んでいる。国会軽視も甚だしい。さらに,上記国会報告を見ると,2015年に特定秘密と指定された443件のうち,何と441件が秘密指定の有効期間の上限である5年間に設定されている。「必要最低限の期間に限り指定」という原則と例外が逆転しているのである。
安倍首相の肝いりで2年半前に設置された国家安全保障会議は,実質,頻繁に開催される4大臣(内閣総理大臣・外務大臣・防衛大臣・内閣官房長官)会合で意思決定がなされている。そして,4大臣会合は,安倍首相と側近の国家安全保障局長が主導しており,首相の判断で自衛隊制服組トップの統合幕僚長もたびたび出席しているという。会合の議論の内容は徹底した秘密扱い(「特定秘密の塊」と言われる)で,政策決定過程の検証は困難である。安全保障に関する重要な政策決定が,安倍首相が「国軍」と発言して憚らない自衛隊制服組トップの出席のもと,実質安倍首相とその側近の判断で行われ,国民には検証の手段すらないとは何と恐ろしいことだろう。

 

特定秘密保護法及び安保関連法制の廃止,むろん安倍政権の退陣は焦眉の急である。