谷根千散歩

弁護士 堀 哲郎

 

現住所地に住んで36年。
子らは皆巣立ち,1年前から夫婦水入らずの暮らしをしている。

 

5月5日,ゴールデンウィーク中どこへも出掛けず,ひたすら家に引きこもっていた私を見かねたのか,古女房が「家でゴロゴロしてないで,散歩に行こう。」と言い出した。
とくに異存はなく,天気も文字通り五月晴れであったことから直ちにこれに応じたが,娘夫婦が住む浅草方面は飽き飽きしていたので,とりあえず,以前やっていた早朝ウォーキングのコースである上野公園に向かった。

 

午前9時10分頃自宅を出て,歩いて15分ほどで到着。
すると,上野駅方面から続々と人波が押し寄せて来るのに遭遇した。
そうか,今日は子どもの日,上野動物園が無料の日なのだ。
もっとも大人は有料で入場券売り場の前には長蛇の列が出来ていた。
早々と上野公園を通り抜け,不忍池を半周し,不忍通に出た。町名は池之端である。

 

ここにゴルフ練習場があるが,司法修習生のころ,よく通ったものである。
当時,司法研修所がこの近く(湯島)にあり,私は,自宅から司法研修所まで歩いて通っていたが,帰りに時々寄っていたのである。

 

さて,不忍通を少し北上すると上野動物園の花園門(池之端口)がある。
こちらはあまり知られていないのか,並ばずに直ぐ入園できているようで,動物園の混雑時にはお勧めである。

 

不忍通をさらに北上すると,やがて東京メトロ千代田線根津駅に至り,町名も根津に変わる。
時計は午前10時をまわっていた。
ここから,昨今流行りの,いわゆる谷根千(谷中・根津・千駄木)散歩の始まりである。
過去に何度も訪れているので(家族の他,事務所の同僚弁護士らと訪れたことも複数回ある。),今回は街並をじっくり鑑賞することを主眼とし,いわゆる名所旧跡は避けることにした。
そのため,ツツジが見ごろの根津神社はパスした。
因みに,根津神社(根津権現)については,司馬遼太郎の街道をゆく37「本郷界隈」(朝日文芸文庫)に由来等が詳しく記されている。

 

さらに進むと千代田線千駄木駅に至り,周辺の町名も千駄木となっている。
千駄木駅と同じ場所にあるバス停の名称は「団子坂下」となっており,ここを左折すると団子坂である。
団子坂を上っていくと鴎外記念本郷図書館(森鴎外旧居跡)があるが,私たちは,これもパスし,団子坂下を右折して三崎坂を上っていった。
町名は谷中になっている。
三崎坂を上っていくと,両側はお寺,お寺,お寺である。
帰宅後,地図を見ると,無数の卍印が記されていた。
そのまま進めば谷中霊園に行きつくが,途中右折して上野桜木に向かった。
すなわち,谷中霊園,谷中銀座,朝倉彫塑館などはパスしたわけであるが,一度も行ったことがない人や猫好きの人にとっては,朝倉彫塑館は見逃せないところである。

 

時計は午前10時40分を指していた。
このあと帰途につき,寛永寺,JR鶯谷駅を経て,自宅に戻ったのは午前11時であった。

 

以上,時間にして約2時間,万歩計の歩数は1万3000歩,かかった費用は0円で,谷根千の風情ある街並を十分堪能でき,充実した休日を過ごすことができた次第である。