「特定秘密保護法」は廃止にするしかない(5)

弁護士 鈴木幸子

 

特定秘密保護法が成立して2年たった12月3日,会計検査院が同法成立前の2013年9月に,内閣官房に対して,憲法90条の観点から条文の修正を求めていたことが明らかになった。

 

憲法90条とは,「国の収入支出の決算は,すべて毎年会計検査院がこれを検査する。」というもので,「内閣は,次の年度に,会計検査院の検査報告とともに国会に提出しなければならない。」

つまり,検査の結果違法または不当な支出があれば,内閣は国会によりその責任を問われることになる。

 

大日本帝国憲法下では,国の機密費や軍事関係費が検査の対象から外され,その結果,支出の増大に対してチェックがなされないまま太平洋戦争に突き進んでしまったことに対する反省のもと,日本国憲法では,会計検査院の検査対象に例外を認めず,「すべて」と規定したのである。

ところが,特定秘密保護法によれば,各省庁が「わが国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがある」と判断すれば,会計検査院に対し,検査に必要な文書の提出を拒否することが可能となってしまい,例外なく検査対象とする憲法90条を骨抜きにすることになりかねない。

その懸念から,会計検査院は修正を求めたのである。

 

会計検査院は内閣官房に対し,2013年10月上旬まで計3回,文書により同様の申し入れをした。

しかし,内閣官房は頑として法案の修正には応じず,各省庁に対し,「検査に支障が生じないよう,秘密事項でも検査上必要があれば提供しなければならない取扱いに変更を加えない」旨の通達を出すことで,会計検査院との間で合意に達した。

 

しかし,それから2年余り経過した今日に至るも,上記通達は出されていない。

この事実は,内閣官房の,各省庁が秘密事項に当たると判断した文書を会計検査院にチェックさせたくないとの意識の現われと言わざるを得ない。

 

2015年6月時点での特定秘密の文書数の第1は内閣官房,第2は防衛省,第3は外務省,11月末時点での特定秘密に関連する業務に従事できる適正評価を受けた公務員の9割強が防衛省所属という結果が発表された。

国会の情報監視機関である参議院情報監視審査会では,10行政機関から報告を受けた382件のうち50件について指定理由を記した「特定秘密指定書」を提出させ,防衛省指定のF2戦闘機の性能に関する情報・外務省指定の外国政府から提供された情報・警察庁指定の国際テロリズムの実行の意思,能力に関する情報の3件について各省庁に対し特定秘密の提示を求めたという。

アリバイづくりのために為されたとしか思えないものである。

 

内閣官房の前述のような意識からすれば,国民に知られたくない情報は,特定秘密保護法によって徹底的に隠し,安全保障関連法の実施へ向けて体制を整え,わが国をきな臭い方向へ引っ張って行こうとしていることは明らかである。

 

特定秘密保護法も安全保障関連法も廃止するしかない!

 

安倍内閣に危険な武器を与えておくわけにはいかないのである。