私の「こころ旅」

弁護士 堀 哲郎


NHK・BSプレミアムの「こころ旅」を毎回楽しみにみています。

火野正平さんとは年齢が近いせいか(私のほうが年下です。),共感できる部分が多々あるばかりか,何よりも寄せられたお手紙に書かれた「私のこころの風景」にはいつも感動させられ,こころを癒されています。

そんなわけで,この番組(これの前は朝ドラ)をみてから仕事に出かける毎日です。


さて,私のこころの風景は,願成寺(岐阜市)境内入口にある山門の両側に屹立する仁王尊(金剛力士像)と本堂に至る石段下から見上げた風景です。


私が2歳のころ,母が第2子(妹)出産のため,ひとり父の実家(農家でした。)に預けられました。

後年聞いたところでは,母恋しで泣いてばかりいたようです。

そんなある日,同じ農村内にある願成寺に連れて行ってもらいました。

誰に連れて行ってもらったのか,どのようにして行ったのかは全く記憶にありません。記憶にあるのは,入口に屹立する巨大な仁王像(文字通り仁王立ち)に肝をつぶしたことと,本堂に至る石段が,天空にも届くがごとく,とてつもなく長かったことです。ちなみに本堂そのものは記憶に残っていません。

それからというもの,何か悪戯したり,言う事を聞かなかったり,泣きやまなかったりすると,祖母は,決まって「願成寺からおにおうさまがやって来るぞ」と言って私を脅かしました。


このときから50年後,帰省した折,ふと願成寺に行ってみようと思い立ち,50年ぶりに願成寺を訪れました。父の実家から歩いて5分程の距離でした。

巨大と思った仁王像はそれほどでもなく,天空にも届くと思った石段はわずか20段にすぎず,階段下から階段上にある小ぢんまりした本堂が見えていました。

このとき,2歳のころの自分を思いやり,何となく切ない気持ちになったことを覚えています。


それから5年後,三度願成寺を訪れることになりました。父の葬儀でした。