「婚姻費用の算定に関する裁判例の紹介」

弁護士 沼尻隆一


ご夫婦が別居している場合の,婚姻費用の分担請求の事案において,未成年のお子さんがいる場合の婚姻費用が,家庭裁判所の審判で定められる場合,一般的には,いわゆる「標準的算定方式」といって,東京・大阪養育費等研究会という会が判例タイムズに発表した提言にもとづいた方法で算定されるのが一般的です。


実は,この方法は,未成年のお子さんが「公立学校」に在籍していることを前提にして,お子さんの生活費指数というのを定めているため,お子さんが,通常は公立学校よりも多額の学費等を要する「私立学校」に在籍している場合には,そのままあてはめることができませんでした。


そこで,そのような,お子さんが私立学校に在籍している場合に,いわゆる標準的算定方式をいかに修正して適用すべきかが,問題となります。


この点,平成26年8月27日になされた大阪高裁の決定(判例タイムズ最新刊〔1417号〕登載)は,婚姻費用の分担額の算定において,私立学校に通学するお子さんの現実の学費のうち,公立学校の標準的教育関係費を超過する部分(以下「超過部分」といいます。)については,夫婦の双方で各自2分の1ずつ負担すべきものと判断しました。


従来は,この「超過部分」については,ご夫婦それぞれの収入で按分する(双方の収入の較差・比率に応じて負担率を変える)方法がとられることが多かったのですが,そのような流れに一石を投じた裁判例と言えそうですので,ご紹介する次第です。