少年法適用年齢の引き下げに反対です

弁護士 水口 匠


政府(成人年齢見直しなどを検討する特命委員会)は,少年法の適用年齢を現在の20歳未満から18歳未満とするための改正を検討しています。
これは,選挙権の年齢が18歳以上に引き下げられたことが背景になっています。


しかし,選挙年齢と少年法の適用に,何の関係があるのでしょうか。
少年法は,「少年の健全な育成」という観点から,少年の資質,環境などの特性を考慮して適用年齢を設定しているのであって,これを形式的な成人年齢にとらわれて,合理的理由もないのに引き下げることはナンセンスというほかありません。


また,少年法の適用年齢引き下げが検討される,もう一つの背景には,深刻化する「凶悪」な犯罪の抑止の必要性も叫ばれているようです。


しかし,実際には,少年事件は増加も凶悪化もしていません。それどころか,激減しています。
例えば,一般刑法犯の検挙人数ですが,2000年は約15万2000人であるのに対し,2013年は,約6万9000人と,半分以下になっています。
また,凶悪犯についても,同期間で同様に激減しているのです(殺人は約半分。強盗,強姦はそれぞれ約3分の1)。
当然,人口比あたりで計算しても激減しており,少子化が理由というわけではありません。
従って,凶悪犯罪の深刻化という認識は前提として完全に誤っているのです。


適用年齢の引き下げは,必要性がないだけでなく,様々な問題点もはらんでいます。
言いたいことはまだまだありますが,あまりに長くなってしまうので,ここでは書くことができません。
しかし,一ついえるのは,安易な適用年齢の引き下げが,社会を悪くすることはあっても,よくすることはないということです。