9条

弁護士 堀 哲郎


工学部出身の私は,恥ずかしながら29歳になるまで,憲法と法律の区別ができていませんでした。憲法の条文すら,一度も読んだことはありませんでした。29歳のとき,会社を辞めて司法試験の勉強を始め,初めて憲法の何たるかを知った次第です。当初は,憲法の条文を丸暗記することから始めました。条文は全部で103条あり,比較的短期間に覚えることができました。(後日談ですが,丸暗記する必要はまったくなく,どこに,どういう(何に関する)規定があるかわかれば,それで十分だと言われ,無駄な努力をしたことに気付かされました。)
ちなみに民法は1044条まであり,とても覚え切れませんでした。


さて,憲法とは何か,については憲法自身次のように定めています。


98条1項

 この憲法は,国の最高法規であって,その条規に反する法律,命令,詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は,その効力を有しない。


また,こうも規定しています。


99条

 天皇又は摂政及び国務大臣,国会議員,裁判官その他の公務員は,この憲法を尊重し擁護する義務を負う。


ところで,今,国会では,集団的自衛権(自分の国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を,自分の国が直接攻撃されていないのに,実力で阻止する権利)の行使を容認する,いわゆる安保法案の審議がなされています(衆議院では強行採決)。この法案については,各界・著名人から違憲(憲法9条違反)の声があがっています。日本弁護士連合会も早々と違憲声明を出し,埼玉弁護士会その他の単位弁護士会も然りです。さらに,憲法学者の大多数が違憲と断じています(朝日新聞アンケート)。また,国会周辺はもちろん,全国各地で反対のデモ(パレード)も行なわれています。


9条を巡っては,これまで様々な議論がなされてきましたが,百聞は一見に如かず,次に9条を掲げます。専門家ならずとも,素直に(常識的に)読めば,集団的自衛権の行使(限定的にせよ)が違憲であることがよくわかると思います。


9条1項

 日本国民は,正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し,国権の発動たる戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解決する手段としては,永久にこれを放棄する。

2項

 前項の目的を達するため,陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権は,これを認めない。


いかがですか?