憲法の存在意義

弁護士 水口 匠


7月15日,安全保障関連法案が衆議院平和安全法制特別委員会で採決が行われ,自民,公明両党の賛成多数で可決されました。これから,16日には衆議院本会議で可決し,参議院に送付する見込みになります(この原稿を書いているのは15日です)。


約1か月前,憲法学習会に招かれた3名の憲法学者が,いずれも集団的自衛権の行使を憲法違反であると回答しました。他の学者もほとんどが同じ意見とのことです。当然だと思います。我々弁護士などの法律家も,今の憲法の下で集団的自衛権を認めることに問題がないと考える方はほとんどいないのではないでしょうか。
憲法を改正した上で集団的自衛権を認めるべきか否かについては,ここで触れるつもりはありませんが,私も今の憲法の下でこの法律を作ることは,客観的にいって憲法違反だと思います。本当に集団的自衛権の行使を認める必要があると考えるのであれば,憲法改正手続きにより,正々堂々と国民に信を問わなければなりません。


憲法とは,国民の生命,身体,財産,生活,自由を守るためにある,国家を縛るルールです(これを,立憲主義といいます)。人間に例えれば,国家や国民が肉体で,憲法は肉体を支える背骨のようなものです。背骨を折ったり,無理矢理ねじ曲げたりすれば,必ず肉体に障害が生じます。これは,歴史上も明らかです。

それなのに,憲法9条の解釈を無理矢理変更して(憲法9条,99条違反),法案も強行に採決しました(憲法9条違反)。国会議員の中には,新聞社の報道弾圧とも受け取れる発言を平気で行なう者もいます(憲法21条違反)。


これまでも問題ある法律は数々作られてきましたが,この法案はその中でも際だっているように思います。この法律が施行されても,戦争が起きなければいいという問題ではありません。この法律を作ること自体にとても大きな問題があるのです。
日本は今,大きな転換点にいます。