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遺産分割の基礎知識

法律ミニ講義 2015年4月

 弁護士 水口 匠 / Takumi MIZUGUCHI

第1 設例

被相続人 太郎 (75歳)は,長年自分名義の家(一戸建て)に住んでいました。また,太郎の妻である ウメ は,結婚以来太郎と生活を共にしていましたが,3年前に病気で他界しました。
また,太郎には3人の子ども( 花子 , 一郎 , 二郎 )がいます。長女花子は15年前に結婚して以来,夫・子どもと一緒に住んでいおり,太郎と顔を合わせるのは年に数回程度です。長男一郎も結婚して子ども( 憲一 , 法子 )もいますが,10年前に不慮の事故で他界しました。二男二郎は結婚しておらず,子どもの頃からずっと太郎と一緒に生活をしていました。
そんな太郎ですが,ある日交通事故に遭い,そのまま他界してしまいました。
なお,事故当時,太郎は仕事をしておらず,収入は年金だけでした。また,太郎には自宅土地建物のほか,甲銀行の普通預金,定期預金,国債があり,また,乙証券会社の株式がありました。
この場合,相続人間で太郎の遺産を分割するためには,どのようなことに注意すればよいでしょうか。

第2 遺産分割

1.相続人

【 原則 】
まず,誰が相続人になるかについて見ていきます。誰が相続人になるかは,法律上,次のように順位がつけられています。
  第1順位 子
  第2順位 直系尊属(父母等)
  第3順位 兄弟姉妹
つまり,被相続人に子どもがいる場合には,子どもが相続人になり,父母や兄弟姉妹は相続人になることができません。また,子どもがいなくても,父や母が存命のときは,父母が相続人になり,兄弟姉妹は相続人になることができないことになります。
また,配偶者(夫または妻)は常に相続人になります。したがって,例えば被相続人に妻子がいる場合には,妻と子どもが相続人になります。
設例の場合,被相続人に子がいるため,仮に被相続人に親や兄弟姉妹がいたとしても,相続人にはなれません。

【 代襲相続 】
設例では,太郎の死亡前にすでに一郎は死亡しています。このような場合は,その子どもや孫が相続人となり,元々の一郎の相続分を受けることになります。これを代襲相続といいます。
したがって,設例では,一郎の子どもである憲一と法子が代襲相続人になります。
その結果,設例における相続人は,花子,二郎,憲一,法子になります。

2.法定相続分

次に,法律上,どの相続人がどれくらいの割合で遺産を受けることが出来るかについて見ていきます。
法定相続分は,相続人が誰かによって,その割合が変わってきます。具体的には被相続人が,
  配偶者と子の場合 …… 1:1
  配偶者と直系尊属(父母等)の場合 …… 2:1  
  配偶者と兄弟姉妹の場合 …… 3:1
となります。
子ども同士,兄弟姉妹同士では,一部例外はありますが,原則として法定相続分に差はありません。したがって,設例のように,他家に嫁いだ太郎と,被相続人と同居していた花子でも,法定相続分は同じになります。
したがって,設例では,花子,二郎,憲一,法子の相続分は,2:2:1:1になります(憲一,法子は一郎が生きていれば認められた相続分を2人で分け合うことになります)。

また,設例で仮にウメがまだ生きている場合には,ウメ,花子,二郎,憲一,法子の相続分は,6:2:2:1:1になります。

3.遺産(相続財産)の範囲

【 原則 】
原則として,被相続人の財産はすべて遺産になります。被相続人の借金も遺産に含まれます。
設例では,自宅土地建物のほか,甲銀行(普通預金,定期預金,国債),乙証券会社(株式)のすべてが太郎の遺産になります。
また,交通事故により損害賠償請求権が発生した場合には,これも債権(特定の人に対してお金等を請求する権利)として遺産に含まれることになります。

【 遺産に含まれないもの 】
一方で,遺産に含まれないものもあります。

  • 設例で,太郎は年金を受けていますが,年金は太郎だけが受けられるものであるため(これを,一身専属権と言います),遺産には含まれません。
  • 太郎がお墓を所有していた場合にも,遺産には含まれません。お墓は,慣習に従って承継すべき者を決定することになります。慣習が明らかでないときは,家庭裁判所が定めることになります。
  • 受取人が指定されている生命保険金も遺産には含まれません。(ただし,税法上は遺産と扱われることになります。また,受取人指定のない生命保険金や被相続人を受取人とした生命保険金は遺産に含まれます。)

4.遺産分割の手続き

相続人と遺産が確定したら,具体的な遺産分割のための手続きに移ることになります。
まずは相続人全員による遺産分割のための協議を行います。

具体的な遺産分割の仕方については自由ですので,当事者間で合意できれば,法定相続分はもちろん,遺言書と異なる内容であっても,遺産分割をすることができます。
協議が整わないとき,又は協議ができないときは,家庭裁判所に対し,遺産分割調停・審判の申立をすることになります。

調停とは,裁判所を介した当事者間の話し合いであり,審判とは,裁判官(審判官)が当事者の主張を聞き,証拠を見た上で,どのような分割の仕方が適切かを判断する手続きです。

以上